活用事例

全社員で専門家に直接質問。少人数だから実行できた曖昧さをなくした就業規則の整備【株式会社アプコス】

企業紹介

社名:株式会社アプコス
事業内容:産業機械卸売/ 従業員数:4名
代表取締役 間 敏行(はざま としゆき)さん
倉野 由紀さん

担当した専門家

沖津 利可 Rika Okitsu
りか社労士事務所

社会保険労務士、医療労務コンサルタント

相談前の課題

  • 創業時に作成した就業規則を長年アップデートできていなかった
  • 在宅勤務や出張時の労働時間など判断に迷う場面があった
  • 顧問の社労士がおらず、誰に何を相談すればよいか分からなかった

制度活用のきっかけ

  • 採用により新たな社員が入社する前に制度を整えておきたかった
  • 少人数の組織でも、働くうえでの信頼関係を大切にしたかった
  • 東京都からの案内をきっかけに専門家と相談できる機会だと捉えた

相談後の成果

  • 就業規則を現在の会社の環境に適した形に更新できた
  • 固定残業手当や事業場外みなし労働時間制など実態に合わせて規定を整備
  • 全社員が社労士に直接質問でき、ルールへの理解と安心感が広がった

創業時に作成した就業規則と現在の環境のギャップ

Q.まず事業内容を教えてください。


敏行さん
(以下、
敬称略)

 当社は食品工場に向けた、製造や包装ライン向け産業機械の販売と導入支援を行っています。人手不足を背景に、ロボットなどを活用した省力化・自動化の提案にも注力しているほか、工場の衛生対策を支援してきました。食品メーカーは景気変動に強いと言われ、設備投資も底堅い業界です。ただし、地方を中心に人材確保が難しくなっており、省人化へのニーズはますます高まっています。私たちは、こうしたお客様の課題に、機械やソリューションでお応えしているのです。

Q.これまで、働き方に関してはどのような課題がありましたか。

 当社の企業理念は「感謝・貢献・笑顔」で、従業員がやりがいを持って働ける会社であることを大切にしています。その想いから、創業時に就業規則を作成し、安心して働ける環境を整えたいと考えてきました。

 ただ2019年設立の若い会社とはいっても、時の流れとともに働き方や会社の状況は変わってきます。気心の知れた者同士、少人数で運営してきたこともあり、大きな不便は感じていませんでしたが、固定残業手当や事業場外での労働、割増賃金など、聞かれると判断に迷う場面がいくつかあったのも事実です。

 食品工場に製造機械を設置するにあたっては、出張で数週間にわたって同じ現場に入ることもあります。そうした場合の勤怠の扱いも整理できていませんでした。

倉野
由紀さん
(以下、
敬称略)

 コロナ後には在宅勤務を取り入れる従業員や、家族の介護を抱える従業員が出てくるなど、働き方が多様になってきていました。会社の実態が変わっていく中で、就業規則の見直しが追いついていなかったのです。

疑問を1つずつ解決。その場で答えが得られる安心感

Q.専門家派遣を利用したきっかけは何ですか。

倉野

 きっかけは東京都からご案内をもらったことです。これまで労務についての疑問があっても、顧問社労士がいないため、誰にどう相談すればよいか分かりませんでした。少人数でも、きちんとした体制を作りたいという間の意向もあったので、専門家に相談できるのであればぜひお願いしたいとお伝えしました。

Q.具体的にどのような支援を受けましたか。

倉野

 社労士の沖津先生に、全5回にわたって面談していただきました。「この場合はどうすればいいのか」という相談ベースで、こちらの疑問にその場で答えていただく進め方です。頭の回転が早くて、質問するとすぐに当社の事情を踏まえて、規定の文言や計算式の考え方まで具体的にアドバイスを示してくれました。

 細かい点までなんでも相談させていただいたのですが、Excelで管理していた勤怠については、ちょうど検討を進めていた2社の勤怠管理システムを一緒に比較していただきました。アドバイスのおかげで私たちの運用にマッチしたシステムを選ぶことができました。

 これまで振替休日の取得期限が就業規則に定められていなかったので、長い間積み残されていた分がありました。これをシステム内で期限管理する仕組みに変え、過去の分も一度清算しました。マイカー通勤の規程や通勤費の扱い、法改正に対応した労働条件通知書の見直し、在宅勤務への事業場外みなし労働時間制の適用要件など、これまで明確になっていなかった点が1つずつクリアになり、心が軽くなるように感じました。

倉野

 就業規則の改定にあたっては、個別の文言について細かくアドバイスしていただきました。固定残業手当や自己都合退職の規定整備、年次有給休暇を確実に取得してもらうための運用まで、懸案だった点を個別に相談でき、自社の状況や方針に沿う形で一つずつ形にする安心感は非常にありがたいものでした。

社員全員で専門家に質問しその場で明確な回答を得る

Q.基本的に倉野さんが沖津先生と1対1で面談されたのでしょうか。

倉野

 一度だけ、社長も含め社員全員でリモート面談をさせていただいたことがあります。在宅勤務での労働時間の扱いや、出張先での休日はどうなるのかなど、従業員本人が気になる点は、直接専門家に質問してもらった方がわかりやすいだろうと。たとえば、顧客からお呼びがかかる可能性がありながら、出張先のホテルで休んでいる場合にこれは勤務なのか、休みなのか。回答を私たちから又聞きしても納得感が得にくいので、客観的な立場にいる専門家から直接聞いた方がよいだろうと考えたのです。

 これまで遠方の現場に数週間滞在するときの、移動や休日の扱いが曖昧でしたが、「自由な時間かどうかが判断の分かれ目」だと整理していただきました。たとえば、自宅から客先へ向かう場合と、移動の途中で業務上の打ち合わせを行う場合では考え方が異なることや、また出張先での休日についても勤務となるケース、ならないケースの考え方や線引きを示していただきました。

Q.支援を受けて、社内にはどのような変化がありましたか。

 以前ならこうした質問には即答しづらく、かといって持ち帰って後から回答する負担も感じていました。それを、その場で根拠とともに明確に答えていただけたのは、本当に助かりました。少人数だったからこその活用方法だったと思います。その場で認識を共有できたため、後から解釈の違いが生じることもありませんでした。

倉野

 やはり「就業規則に明記されています」と答えられる安心感は大きいです。新たに入社した従業員も、新しいルールのもとですぐに職場に馴染み、活躍しています。勤怠管理システム導入後は、一人ひとりが時間を意識して効率よく働くようにもなりました。皆が安心して働ける状態になったと感じています。

人材が集まってくれる会社へ、進化を目指して

Q.今後の展望を教えてください。

 さらに人材採用に力を入れることで事業拡大を目指します。まずは働きやすいと思ってもらえるように、今回、創業時に定めた就業規則を最新の形にアップデートできました。同じく給与テーブルも従業員に示しています。求められる職能や成果と、給与の基準を可視化することで、各従業員が目標を目指して挑戦しやすくなると考えているためです。

倉野

 従業員が気持ちよく働き続けるためには、制度を一度整えて終わりではありません。今後も変えていくべきものが必ず出てきます。今回の専門家派遣で目下の不明点はすべて解消できましたが、これからも定期的に見直しを続ける必要があると感じています。小規模でも、専門家の力を借りながらブラッシュアップしていくことで、働いている人材にも、これから加わってくれる方たちにも「いい会社だ」と言ってもらえる会社にしていきたいです。

Q.「専門家派遣」の利用を検討中の企業へメッセージをお願いします。

 日々の業務に追われていると、そもそも何が課題なのかにも気づきにくいものです。専門家の方に「ここは問題ではないですか」とヒアリングしていただくだけでも、「ああ、確かに」と気づかされることがたくさんあります。費用の負担もなく、これだけ親身に相談に乗っていただけるのですから、少人数の会社こそ活用しない手はないと思います。

倉野

 就業規則を専門家に作成してもらうとなると、本来は相応の費用がかかります。小規模な会社ほど相談する前に身構えてしまうものだと思います。今回は費用を気にせずに相談できたので、気になることを何でも質問できました。とてもよい制度だと思いますので、課題は感じているけれど解決の糸口がつかめていない会社には活用をおすすめしたいですね。