活用事例

エンゲージメントサーベイで現状を可視化し、リモートワーク導入と就業規則見直しを実現【株式会社Ludius】

企業紹介

社名:株式会社Ludius
事業内容:ウェブマーケティング、ウェブ制作・開発、DX推進支援 / 従業員数:4名
代表取締役 平本祐資さん

担当した専門家

八木原 新悟 Shingo Yagihara
やぎはら社会保険労務士事務所 代表

特定社会保険労務士

相談前の課題

  • 創業直後に作成した就業規則が約10年、改定しておらず、柔軟な働き方に対応できていなかった
  • 他社事例や労務全般の知識不足から、自信を持って働き方改革を実行できなかった
  • 定期的な1on1ミーティングを通じてヒアリングに努めていたが、従業員の抱える潜在的な課題の把握ができていなかった

制度活用のきっかけ

  • 従業員がより働きやすい環境を整備するために就業規則を見直したい
  • 知る機会の少ない他社の事例や労務に関する知識などを、専門家から直接教わりたい
  • 従業員の本音を把握し、潜在的な課題を洗い出すためエンゲージメントサーベイを実施したい

相談後の成果

  • 産休・育休支援制度など新制度を就業規則に反映できた
  • 電話応対の外注化、顧客アンケートなど従業員目線に立った新しい施策のヒントが得られた
  • 早期にリモートワークを正式な制度として導入し、従業員の働きやすさが向上した

従業員の声から課題を洗い出して改善に着手

Q.会社の事業内容を教えてください。

 ウェブマーケティングやウェブデザイン、ウェブ制作などのほか、近年は中小企業のDX推進支援にも力を入れています。IT導入補助金の支援事業者としても登録しています。2016年の創業以来、お客様の業種を問わず、製造業から建設業、不動産業まで幅広くサービスを提供してきました。

Q.エンゲージメントサーベイと専門家派遣を利用したきっかけはなんですか。

 これまでも全員と月1回の1on1ミーティングを実施してきましたが、直接は言いづらいこともあるはずなので、そういった隠れた声をエンゲージメントサーベイによって吸い上げ、働き方改革の内容に反映したいと考えました。やはり、大切な従業員には長く活躍してほしいという思いをもっています。特に私たちのような小規模な組織は、環境改善に取り組み続けることが必須です。

 人材採用が年々厳しさを増す中、改めて自社の魅力や、共通の価値観が形成されているか客観的に確認するいいタイミングだと思ったのです。また、労務そのものや他社の取り組み事例などを知る機会はなかなかないので、専門家派遣も非常によい機会だと期待していました。

Q.エンゲージメントサーベイの結果はいかがでしたか。

 結果は概ね想定していた通りでしたが、取り組むべき課題の優先順位が明確になったことがよかったと思っています。特に従業員が、リモートワークを含めた柔軟な働き方を希望していることが明確になりました。すでに個別の相談を受けた際には柔軟に対応してきましたが、正式な制度として整備する必要性を改めて感じました。

 また当社の従業員は男性が一名のみで、女性が多い構成になっています。「今後、必要になったときに産休や育休が取得しやすい環境づくりをしてほしい」という意見もありました。必要が生じてから取り組むのではなく、制度に加えて職場の雰囲気も整えておくのがよいと考えて、就業規則を見直す際にもそれらの優先度を高めることにしました。

専門家のアドバイスで速やかにリモートワークを制度化

Q.専門家から受けた支援内容を教えてください。

 全5回の面談を通して、エンゲージメントサーベイの結果をもとにした現状確認と課題整理、そして就業規則の改定に対して具体的なアドバイスをいただきました。

 最も優先度の高かったリモートワーク制度の導入についての助言は、特に参考になりました。「リモートワークをしなければいけない」という義務ではなく「してもいい」という選択制であれば、就業規則の改定を待たなくても即導入できると指摘していただき、翌週から実施できました。

 同規模の企業が取り組んでいる働き方改革事例を豊富に教えていただいたことはとても参考になりました。既存の従業員のことは信頼しており、リモートワークでも厳しい管理は想定していません。ただ、今後の組織拡大を見据えて、他社の導入事例や運用方法をご紹介いただき、就業規則の整備、健康に配慮した労務管理、人事評価などの助言をいただきました。

Q.就業規則の見直しはどのように進めましたか。

 従来の就業規則は、一般的なテンプレートを使って作成したもので、自社の実情に合わせた内容に見直す必要がありました。今回の改定で、積立有給休暇制度、社内メンター制度、従業員表彰制度など複数の新たな制度を追加することとしました。就業規則を充実させることにより、産休・育休取得者を支える従業員への支援も拡充したいと考えたためです。そのための奨励金も申請しました。休暇を取得しやすく、復帰もしやすい環境づくりが重要だと考え、これらの制度を優先的に整備しました。
このほか現在の制度にそぐわない古い記述についても指摘していただいたのはありがたかったです。

従業員目線での改革成果に手ごたえ

Q.従業員の反応はいかがでしたか。

 リモートワークの導入は喜んでもらえたようです。また、産休・育休支援制度などの新制度についても、「将来安心して働き続けられる」という前向きな反応をもらっています。エンゲージメントサーベイで要望として挙がっていた内容だったため、会社がしっかりと声を聞き対応している姿勢を見せられていると思います。

Q.他にもサーベイで分かったことはありますか。

 全員が「チャレンジできる職場だ」と回答したのは嬉しく思いました。当社は、顧客のさまざまな要望に応じて新しい業務に取り組むことが多いので、従業員からすれば当然かもしれません。しかし、従来のやり方に捉われることなく、常にチャレンジしてほしいと伝えていることが、従業員全員に浸透していることを確認できて良かったです。

 また一方で、思わぬギャップの存在も明らかになりました。私は従業員が皆よく働いてくれていると感じていますし、顧客からの評価も高いのですが、当の従業員たちは「仕事に自信を持てない」と感じているとわかったのです。そこで八木原先生の助言も得て、顧客にアンケート回答を依頼し、高評価が従業員に直接伝わる仕組みづくりにも着手しています。

働きがい向上の取り組みが採用でも有利になるはず

Q.今後の展望について教えてください。

 経営者個人としての目標は従業員がさらに活躍できる環境を整えることです。従業員がより一層主体的に業務へ取り組み「こんな成果が出ました」と驚かせてくれるような、従業員を中心とした組織にしていきたいですね。業務により集中できるように、電話対応を外部のコールセンターへ委託するといった改革の準備も進めています。そして多くの従業員が長く活躍することで「墨田区でIT」と言えば、当社の名前が真っ先に想起される存在になりたいと思っています。

Q.「専門家派遣」の利用を検討中の企業へメッセージをお願いします。

 中小企業はエンゲージメントサーベイを実施したほうがいいと思います。人材採用は多くの企業にとっての課題ですが、サーベイを使うと自社の課題も強みも抽出できます。
当社なら、従業員全員が「チャレンジできる職場環境」と回答しているというサーベイの結果を求人情報に掲載できます。こうした客観的なデータは他社との差別化において重要な強みになり得ます。もし悪い結果が出ても、それを改善して再度サーベイを実施すれば「数値がここまで良くなった」という実績をアピールできます。こうした取り組みには時間がかかることも多いので、数年後の採用競争を視野に入れると、今すぐに取り組んだほうがいいのではないでしょうか。